魚がえらいうまかもんなあ

 

福岡市中央卸売市場鮮魚市場

 玄界灘の荒波にもまれた美味しい新鮮な魚が、福岡市中央卸売市場鮮魚市場に毎日集まってきます。
 市場に舟を横付けして獲った魚を降ろす、いわゆる水揚げ高は日本一です。
 この市場に水揚げされる魚で多いのはサバ、アジ、イカの順です。
 市場には毎日約7200人の人々が集まります。
 場内には市場以外に食堂8軒、各種店舗、床屋、銀行などがあり、周辺にはラーメンで有名な屋台や食堂がたくさんあります。
 もちろん市場内は関係者しか入場できません。

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柳橋連合市場

 博多の味が何でも揃う柳橋連合市場は約70軒の店が並び、そのうち約20軒が魚屋さんです。
 フグが美味しいお店、鯨専門店、貝類の専門店、川魚専門店、明太子専門店、ムツゴロウやアゲマキ貝など有明海の珍しい魚が手に入る店などいろいろなお店があります。
 扱う品は一級品なので、家庭の台所を支えるだけでなく、料理人もここで仕入れをします。
 そのぶんやや値段は高めですが、夕方5時を過ぎると値引きをしてもらえます。
 クール便で宅配してもらえますので、旅行にいらした方もお土産に美味しい魚を送ることができます。  

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フグ

 フグで有名で取扱い高日本一は山口県下関市です。
 下関に全国で獲れたフグが運ばれ、そこからまた全国に出荷される流通機構の中心地なのです。
 福岡の市場でのフグの取扱量は下関に比べてずっと少ないのですが、玄界灘の身のしまったフグの味はどこにも負けないそうです。
 最高級品はトラフグで、中でも腹びれの白いシロが一番です。
 天然物と養殖の区別は口です。
 養殖物は喧嘩をして互いに傷つけるので、歯を切っています。
 福岡でもやはり高級魚のフグですからそれなりの値段はしますが、関東や関西で食べるよりはずっと食べやすいと思います。
 我が家は最近は料理屋さんであまり食べないで、柳橋連合市場で買ってきて食べます。
 料理屋さんの半分くらいの値段でフグをたっぷり楽しむことができます。
 フグの食べ方は全国大体同じで、ちり鍋、刺身、皮の湯引き、唐揚げ、ヒレ酒といったところでしょう。
 福岡の唯一の特徴といえば、刺身を福岡市箱崎の特産品である極細のねぎ「こうとうねぎ」と食べることです。
 「こうとうねぎ」を細かく刻んで薬味にしたり、3,4cmの長さに切りそれを刺身で巻いて食べます。
 フグといえばもちろん気になるのは毒ですから、フグ調理の免許を持つ信頼できる店選びが大切です。
 肝臓とメスの卵巣に強い毒があります。
 フグは世界中で獲れますがその毒性がはっきりしないので、日本で食用として許可されているのは日本沿岸と東シナ海で獲れたフグだけです。
 鉄砲と同じで毒にあたれば死ぬので関西では「てっぽう」とか「てつ」と呼ばれています。
 刺身は鉄砲+刺身で「てっさ」と呼びます。
 棺桶の意味である「がんば」と呼ぶ地方もあるようです。
 福岡や下関ではフグと濁るのではなく、「ふく」と呼ぶのが一般的のようで、縁起の良い漢字「富久」を使います。
 関東でフグと呼んだので明治以降フグが標準語になりましたが、「ふく」の方が古くからの呼び方のようです。

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サバ

 サバは福岡で一番漁獲量が多い魚です。
 「サバを読む」は「数量をごまかして利益をむさぼる」という意味ですが、サバは大変傷みやすい魚なので、急いで数えていい加減な数になってしまうというのが由来のようです。
 傷みやすいので生ではあまり食べず、塩サバやしめサバにします。
 しかし福岡では生の美味しいサバをたくさん食べることができます。
 サバはマサバとゴマサバの2種類がありますが、刺身で食べるには固いマサバの方が適しているようです。
 サバの刺身を使った福岡名物料理、「ごまさば」は絶品です。
 こちらに引っ越して来て初めて食べましたが、大好きになりました。
 とろっとするまでよくすった胡麻にしょう油、砂糖、酒、味醂などを加え、よく混ぜます。
 サバを三枚に下ろし、皮、骨、血合いを取り除き、小さく切ります。
 それを胡麻だれとあえ、好みでねぎ、海苔、わさび、生姜などといただきます。
 「ごまさば」を熱いご飯にのせ、海苔、わさび、しょう油と、お茶か出し汁をかけていただく「ぶかっけ」もぜひお試し下さい。
 忙しい博多の商家は大急ぎで食事を済ますので、「ぶっかけ」を好んで食べたそうです。
 新鮮な生のサバはとても美味しいにですが、寄生虫アニサキスには気をつけなければいけません。
 数pの糸のような白い寄生虫で、うっかり食べてしまうと胃を突き破り大変なことなります。
 俳優の森重久弥さんがアニサキスのいるしめサバを食べて、手術、入院をしたことでこの寄生虫は有名になりました。
 たとえ冷凍にしたり、酢や塩につけてもこの寄生虫は生き続けます。
 熱に弱いので火をとおせば大丈夫ですが、生で食べる場合はよく見て気を付けなければいけません。

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アジ

 サバに次いで漁獲量の多い魚がアジです。
 夏に釣りに行くとサビキでアジゴが山ほど釣れることがよくあります。
 釣りたてをさばいて、酢にちょっとつけてお寿司にするととても美味しいです。
 市内の魚をおいている料理屋ではたいがいアジの活け作りをつくってもらえます。
 美味しくてお値段も手頃です。
 残った骨を唐揚げにしてもらって、カルシュウムたっぷりの骨煎餅としてポリポリ食べるといいでしょう。

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アラカブ

 アラカブという名前は福岡に引っ越しして来て初めて聞きました。
 関西ではこのアラカブをメバルと呼んだりもしますが、いわゆるメバルとは違う魚です。
 同じカジカの仲間ですが、メバルではありません。
 サバやアジより少し高級魚の白身のころっとした美味しい魚です。
 煮付けにしたり鍋にも入れますが、一番のお薦めは新鮮なアラカブのおみそ汁です。
 このアラカブのおみそ汁は福岡の料理屋さんでも食べることができます。
 下の写真のアラカブは自分で釣ったものです。
 生命力が強くて釣ってもアイスボックスに入れておけば数時間生きています。
 だから釣ってきて料理するとき怖くって・・・・・。(^.^;)アセアセ
 包丁を入れたらギューって鳴くアラカブもいて驚いて飛び上がったこともいます。

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ウナギ

 北原白秋の故郷、福岡県南部の柳川は詩情あふれる水郷の城下町です。
 しだれ柳や色とりどりの花を眺めながらドンコ舟で川を下りました。
 ゆっくりと時間が流れていきました。
 柳川を訪れた多くの人はウナギを食べます。
 せいろ蒸し、うざく(ウナギとキュウリの酢のも)を食べました。
 せいろ蒸しは柳川出身の本吉七郎兵衛が江戸で作った料理といわれています。
 1863年文久3年に柳川に帰って創業したそうです。
 たれで味を付けたご飯を器にはめ込んだ蒸籠(せいろ)に入れ、その上にたれを付けて焼いた鰻をのせ、錦糸卵をちらし、器のまま蒸します。

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 東京のウナギは背開きで、蒸してから焼きますが、福岡は腹開きで蒸さずに焼くことが多いようです。
 夏の土用は立夏の前18日間をさし、その間の丑の日はウナギを食べると夏ばてしないとされています。
 平賀源内が、景気の悪い鰻屋を助けるために丑の日をつくったという説があります。
 

柳川鍋

 柳川でウナギの蒸籠蒸しと並んで有名なのが柳川鍋です。
 土鍋に笹がきごぼうを敷き、どの上にドジョウを並べます。
 それをしょう油、味醂、砂糖で味を付けて煮て、溶き卵と三つ葉を加え一煮立ちさせます。
 お好みで粉山椒をふっていただきます。
 1800年代の初め、立花藩江戸屋敷から幕府に柳川の土鍋で煮たドジョウを献上したのが始まりといわれています。
 ドジョウを食べて何とか生き延びているという、幕府の窮状を訴えたといいう説があります。

 

コイ

 筑後川では大きなコイがたくさんとれます。
 浮羽郡田主丸町に有名なコイ専門店、「鯉の巣」(住所 福岡県浮羽郡田主丸町大字田主丸町 電話 09437−2−2451)があります。
 前店主の上村さんは「鯉とりまあしゃん」の愛称で有名なコイとり名人です。
 「まあしゃん」は「まあちゃん」の意味で、筑後地方の方言では「ちゃん」が「しゃん」と訛ります。
 上村さんは小説のモデルになり、テレビや新聞などに多く取り上げられました。
 筑後川に潜り、素手でコイをつかまえました。
 一度に2,3匹のコイをつかまえることもあったようです。
 あらい、煮付け、そして自家製白味噌を使用した鯉こくなどを食べました。
 またこの店では今では貴重な天然の鰻やハヤも食べられます。
 店内には生け簀がありコイやウナギが泳いでいました。

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イカ

 福岡に来てイカの活造りを食べた時、今まで食べていたイカの刺身は一体何だったんだろう!と思うほど美味しさに驚きました。」
 甘くてイカの旨みが口の中に広がりました。
 関西では生け簀のあるちょっと高級の料理屋に行かなければなかなか食べることはできません。
 イカの活造りといえば福岡市内から車で1時間ほどの佐賀県の呼子が有名です。
 美味しいイカや魚を食べさせる店が何軒もあり、福岡市内よりずっと手頃なお値段で新鮮な美味しい料理を楽しめます。
 毎朝7時頃から11時頃まで呼子名物朝市があり、約2kmの通りに60軒ほどの露天がずらりと並びます。
 また断崖に波によってつくられた7つの大きな海食洞「七ツ釜」を見るグラスボートも運航しているので1日遊べます。
 イカを食べに呼子までドライブするのも楽しいと思います。
 私達はイカを食べた後、近くの堤防で釣りをしました。
 悪天候によって舟が出ない時を除いては、もちろん福岡市内でも美味しい活きたイカを出す店を見つけることは簡単です。
 イカの大きさや店によって値段はさまざまですが、だいたい1杯3000円前後です。
 足や尾の部分は後で天ぷらか塩焼きにしてくれます。
 私はいつも天ぷらを頼みます。
 びっくりするくらい美味しいですよ、ぜひご賞味下さい。

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カニ

 福岡のカニはワタリガニ、別名ガザミです。
 日本海のマツバガニや北海道のケガニに比べれば、格下のイメージがありますが、なかなか美味しいカニです。
 少し泥臭く、味もくせがありますが、それがワタリガニの魅力です。
 湯がいて酢醤油で食べたり、鍋に入れたり、おみそ汁にします。
 甲良焼きも美味しいです。
 新鮮なワタリガニでないと臭みがあるので、ぜひ活きたものを買って下さい。
 ちょっと珍しいアサビガニも獲れます。
 生でも茹でたように赤い色をしています。
 上記の柳橋連合市場で手に入ると思います。

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