やっぱ屋台に行かなね

 

福岡の屋台 屋台で注意すること 安心できる屋台選び
人気の屋台 屋台の歴史 屋台の問題点
福岡の屋台

 よく映画やテレビに屋台でのシーンが出てきますね。
 それを見てずっと憧れていた私も、福岡で初めて屋台体験をしました。
 全国の屋台の半数近くが福岡にあるそうで、現在約210軒だそうです。
 福岡はアジアと近く、アジアの玄関口なので、台湾やタイの屋台を思わせる活気にあふれ、エスニックな雰囲気があります。
 屋台は暗い路地にあると思っていましたが、オフィス街の近代的なビルやデパートの前に出ているのを見て驚きました。
 それが不思議と融合して福岡らしさを出しています。
 何度か屋台に行きましたが、お店の人や他のお客さんとふれあう暖かい人情、開放感、そしてもちろんおいしいお料理やお酒を満喫しました。

  メニュー

 福岡の屋台と言えばやっぱりとんこつラーメンですね。(^¬^)ヨダレ
 もちろん福岡の屋台の全てがラーメンを出すわけではありません。
 屋台の定番メニューのおでん、焼き鳥、焼き魚、もつ煮込みなどを出す店がよく見られます。
 天ぷら専門の屋台や、変わったところではピザ、タコス、お好み焼き、テール料理、カクテルを出す店まであります。
 その他ユニークなメニューもいろいろあります。

  許可

 屋台営業は、食品衛生法に基づく保健所の営業許可が必要で、4年ごとに更新しなければいけません。
 また歩道上に屋台を出す場合はさらに、道路交通法に基づく警察署の道路使用許可が必要で、2ヶ月ごとに更新します。

  経費

 食品衛生法に基づく営業許可の更新手数料が、4年に1回で5600円です。
 道路交通法に基づく警察署の道路使用許可の更新手数料が2ヶ月ごとに2000円です。
 清流公園内の屋台は福岡市公園条例に基づく公園使用料が毎月8000円ですが、市が屋台用の水道を設置し、その基本料金は市が払っています。
 固定資産税や道路専用料は払う必要がありません。
 そのため高い固定資産税や、家賃を払っている一般の飲食店の経営者から不公平だという苦情も出ています。

  大きさ

 平均的には間口3m、奥行き2.5mです。
 屋台を勝手に大きくしたり、屋台の外に道具類、テーブル、洗い場、七輪などを置くのは違反です。

  引き屋

 屋台は歩道に置きっぱなしにすることは許可されていません。
 営業時間以外は専用駐車場に置いておきます。
 屋台は自分達で運ぶ場合と、「引き屋」と呼ばれる人に任せる場合があります。

  水道

 ほとんどの屋台では上下水道は完備されていません。
 そのため衛生面などで問題が起きています。
 (「屋台の問題点」の「衛生面」も見て下さいね。)

  電気

 電気は電柱の引き込み線から直接引きます。
 九州電気が設置したメーターにより、一般家庭と同じように月払いで電気料金を払います。
 天神は電線が地中に埋められていますので、配電盤があり、そこから電気を引きます。
 近くのビルから電気をもらい、ビルの持ち主に電気料金を払う屋台もあります。

  ガス

 ほとんどの屋台でプロパンガスを使用しています。
 その他、焼き物などには炭を使っています。

 ← 屋台内の調理場

 

屋台で注意すること

 屋台を楽しむためには、いくつか注意することがあります。

  営業は18時30分か、19時から開店です。 日中に探しても屋台は見つかりません。

  定休日以外、雨や風が強い日は休むこともあります。

  屋台は多くても15人くらいしか入れないので、あまり大人数で行っても入れません。

  屋台は飲むというより、食べるところなのでビール1本で長居をするようなことなく、特に待ってる人が多い場合などは譲り合いましょう。

  屋台の外で飲食するのは違法ですので、混んでいるからといって屋台外で立ち食いをしたり、椅子を出して食べることはできません。

  トイレはありません。 近くに公衆トイレがある場合もありますが、原則としてトイレはありません。

  精算は数人で行って一人ずつ支払うようなことはしないで、待ってる人のためにもさっさっと済ませましょう。

  キャッシュカードは使えませんので、現金、できれば細かいお金を用意しましょう。

  屋台では刺身、サラダなどの生ものを注文できません。
    刺身を出して高い料金を要求する屋台もあるようですが、これは食品衛生法に違反しています。

 ← こんな看板が出ていました

 

安心できる屋台選び

 屋台は安いというイメージを持っている人も多いようですが、実際は普通の店とあまり変わらず、むしろ高い場合もあります。
 多くの屋台が安心して楽しめますが、残念ながら中には法外な高い料金を要求する怖い屋台もあります。
 初めて屋台を経験する人にはなかなか見分けはつかないと思います。
 安心できる屋台選びのこつをいくつかあげてみました。

  料金表が明示されている屋台を選んで入りましょう。

  メニューに値段がない場合は、屋台の人に値段を確認してから注文しましょう。

  観光客だけでなく、常連さん、地元のサラリーマン、女性客が多い屋台を選びましょう。  

  1軒だけぽつんとある屋台より、何軒も近くにある屋台がいいでしょう。

  できるだけ清潔で、整理整頓されている屋台がお薦めです。

  もしトラブルが起きたら、屋台組合に電話しましょう。 その際、日時、屋台の名前、場所、食べたもの、払った金額、その他の状況を詳しく説明します。 それをもとに組合が調査してくれます。 その他意見なども受けつけています。

   福岡移動飲食業組合 (電話 092−751−3490  又は 092−291−3041)

 

人気の屋台

  小金ちゃん (住所 福岡市中央区天神2丁目三井ビル裏、親不孝通り入り口  電話 090−3072−4304  092−807−8220  営業時間 18時30分−翌2時   日と水か木曜日)

 焼きラーメンや牛すじの味噌煮込みのどて焼きが人気の屋台で、地元の人や観光客でいっぱいです。
 屋号はご主人の小金丸進さんのあだ名からつけられたそうです。

  一竜 (住所 福岡市博多区中洲一丁目那珂川沿い、春吉橋東  電話 090−8297−7180  営業時間 19時−翌3時   第3、5日曜日)

 行列ができる有名なお店です。
 とんこつと鶏がらでスープをとった名物ラーメンはもちろん、おでんや焼け鳥もおいしかったです。
 寒い中30分並びましたが、その価値はありました。

  呑龍(どんりゅう) (住所 福岡市春吉3丁目那珂川沿い、春吉橋西  営業時間 19:00−翌3:00   日、祝日)

 気さくなご夫婦がしているラーメンで有名な屋台です。
 長崎出身で、脱サラして先代よりこの屋台を引き継いだそうです。
 女性客だけや、一人でも入りやすい雰囲気でした。
 一日限定10杯のスペシャルラーメン(1000円)に今度は挑戦してみようかな・・・・・。

  長浜屋台街 住所 福岡市中央区港1丁目 営業時間 18時30分頃−翌4時頃まで 店によっていろいろです  オフィス街の屋台は日曜日が休みのところが多いですが、長浜屋台街は日曜日もだいたい営業しています。)

 魚市場西門横に約15軒の屋台が並びます。
 魚市場で働く人を相手に始まって屋台は、長浜ラーメン発祥の地で観光客にも人気があります。
 ラーメンだけでなく、魚市場に近いというだけあって新鮮な魚介類が楽しめます。
 衛生法により屋台では生ものは出せないので刺身はありませんが・・・・・。
 私達はラーメンとキス、アナゴ、イカなどの天ぷらを食べました。
 屋台以外にもあたりには有名なラーメン屋が数件ありますので昼間に行っても長浜ラーメンを食べることができます。
 (「ラーメンば好いとうね?」も見て下さいね。)

 旦過屋台(たんがやたい) (住所 北九州市小倉北区魚町3丁目旦過市場前、どこどこ広場内  営業時間 20:00−翌4:00  なし)

 屋台といえば福岡市というイメージがありますが、北九州にも有名屋台があります。
 屋台なのにお酒やビールはありません。
 約40年前に旦過屋台は誕生しましたが、その当時から市の条例によりアルコールは出していません。
 持ち帰りもできるおはぎや、おにぎりもあります。

(営業時間や休などは1999年8月現在のデータなので、変更があるかも知れません。 確かめてからお出かけ下さいd(^-^)ネ!)

 

屋台の歴史

 戦後の復興期に屋台は自由に営業ができました。
 しかし衛生面を不安視した連合国軍総司令部(GHQ)の指示で、厚生省は屋台の全面廃止を決めました。
 これに対して屋台主達は1950年に組合を作り、存続の署名運動をしたり、嘆願書を出しました。
 1952年には裁判を起こしましたが1955年3月に敗訴しました。
 そんな時、右派社会党議員の故河田琢郎が屋台の良き理解者として中央に働きかけ、厚生省は1955年10月に全廃の方針を撤回しました。

 1970年代になり、車両の急増のため、屋台の歩道使用や、路上放置が問題化し始めました。
 県警が道路交通法に基づく、道路使用許可の名義変更を認めない方針を打ち出しました。
 屋台の自然消滅を狙っての方針です。
 屋台組合会長達のねばり強い交渉により1973年に県警側が折れ、条件付きながら名義変更を認めることになりました。

 その後も天神地下街や地下鉄工事の際に屋台は休業に追い込まれたり、アジア太平洋博覧会でも存廃議論が起きました。

 1994年に県警が再び屋台の名義変更禁止を決定しました。
 生計を屋台に依存する配偶者や子供への譲渡は個別に検討されます。
 屋台は原則として一代限りとなった今、屋台の今後が危ぶまれています。

 1996年福岡市は屋台問題研究会を発足させました。
 屋台の存廃を含めた屋台の問題を研究しています。
 1996年11月に住民基本台帳から無作為に選ばれた市民2000人を対象にアンケートを行い、993人が回答しました。
 我が家にも偶然!このアンケートが郵送されて来ましたので、回答しました。(^-^)
 アンケートの結果、80.8%の人が屋台に行ったことがあり、そのうち男性が85.0%、女性は77.6%でした。
 屋台は何となくおじさんが行くイメージがありますが、女性客も多いことが分かりました。
 74.9%の人が屋台には問題点があるとしながらも、71.3%の人は屋台の存続を願っているという結果が出ました。

 

屋台の問題点

 屋台は観光客の人達にはおいしくて、楽しい所にしか見えないかもしれません。
 しかし実は付近の住民、通行人、警察などの間でいろいろなトラブルを抱えています。
 福岡市が1996年に行ったアンケート調査でも約75%の人が屋台に問題があると答えています。
 屋台組合は自主パトロールを続け、指導を続けています。
 警察も改善するよう指導したり、警告書を出していますがなかなか簡単には問題は解決されないようです。
 屋台は福岡市の観光の目玉のひとつなので、行政側はあまり強く指導はしないようです。
 一部の非常識な屋台や客のために、屋台全体が悪いイメージをもたれてしまうことは残念です。

  衛生面

 衛生面に問題があるという指摘が多くあります。
 水道がない屋台がほとんどなので、ため水を使っています。
 福岡市の屋台組合は、応分の負担をするから屋台に対する上下水道の環境整備をして欲しいと市に求めているようですが、土木局の許可がおりずに話がすすんでいません。

  通行の妨げになる

 狭い歩道を使用しているため、通行の邪魔になり、歩行者は車道を歩かなければならなかったり、車椅子が通れなかったり、点字ブロックの上に屋台が出ていることもあります。
 警察や屋台組合でも改善や移転を指導しているようですが、良い移転先をみつけるのは難しいようです。

  違法駐車

 屋台周辺は屋台の人や客の違法駐車が目立ち、それでなくても屋台で狭くなった通りが、一層混雑することが多いようです。
 警察も取り締まりをしていますが、なかなか違法駐車はなくならないようです。

  トイレ

 屋台には当然トイレがないので、客は公衆トイレを使ったり、無断で近くのビルのトイレを使います。
 飲み過ぎで吐くなどしてトイレを汚す人が後を絶たず、ビルのオーナーは頭を悩ましています。
 トイレに鍵をかけると、ドアを壊されたケースもあったようです。
 また付近の道や空き地などで用をたす客も多くいます。
 組合では簡易トイレの設置も検討しましたが、場所や負担金の問題があり実現されなかったようです。

  騒音

 深夜から明け方まで、酔っぱらいが騒いだり、屋台を片付ける音などで、屋台周辺の住民は眠れないことや、夜中に目が覚めることがあるようです。
 特に屋台を囲う戸板やシートが取り外される夏場はうるさく、暑くても窓を開けて眠ることができないそうです。
 屋台の人達は騒ぐ客に注意することは商売にかかわることもあるので、なかなか難しいようです。
 屋台を利用する側のモラルも問題だと思います。

  におい

 料理のにおいだけでなく、ゴミのにおいや、トイレがなく客が道で用をたすため、屋台周辺の住民はにおいに悩まされているようです。
 ラーメンのスープを溝に捨てる屋台の人もいるようで、夏などそれが腐って悪臭を放ち、窓を開けられないこともあるそうです。
 久留米市では全ての屋台用に汚水弁と共同水道を整備して、改善されたようです。
 

  道路の汚れ

 屋台を片付けた後の掃除が行き届かなく、道路がべとべと汚れていたり、ゴミが落ちていることがあるようです。
 ちゃんと掃除をしている店主も多いのですが、公共の道路を使わせてもらっているという自覚の無い店主がいるのも事実です。

  煙りと煤(すす)

 焼鳥や焼き魚の煙が、屋台周辺の住宅の窓から入ってきたり、ガラス窓や、干している洗濯物を煤で黒く汚すことがあり、住民は困っているようです。
 メニューに焼鳥や焼き魚がある屋台では、それを止めることはできないので、この問題はなかなか解決できないと思います。

 

(データは1999年8月現在のものです)

 

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